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PDB:3a8r

タンパク質名

植物NADPHオキシダーゼ(Rboh)

生物種

イネ(Oryza sativa Japonica Group)

生物学的役割

活性酸素種は細胞に障害をもたらすものとしてよく知られているが、一方で哺乳類、植物をはじめとする真核生物には生体内で積極的に活性酸素種を生産し、生命活動に利用するシステムが存在する。活性酸素種の生成系として重要なものの一つがNADPH オキシダーゼと呼ばれる一群のタンパク質である。

植物NADPHオキシダーゼであるRbohは形質膜に存在し、細胞内のNADPHから供給された電子により細胞外の酸素分子を還元することでスーパーオキシドアニオン(O2-)を生産する。このようにして生産された活性酸素種は感染防御応答、環境ストレス応答、形態形成など植物の生育の様々な場面でシグナル伝達などの役割を果たす。とりわけ感染防御応答と活性酸素種の関わりは古くから知られていた。植物は病原体の侵入を感知すると極めて迅速に活性酸素を生産し、それにより病原体に対抗する様々な応答が開始される。Rbohの活性制御にはCa2+、低分子量Gタンパク質、タンパク質リン酸化酵素などの因子が関わるが詳細な活性化機構は明らかとなっていない。RbohはN-末端の制御領域、6回膜貫通領域、C-末端のFAD/NADPH結合領域という3つの領域からなる。N-末端領域とC-末端領域は細胞質側に存在する。

立体構造の特徴

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ここに示す構造はRbohのN-末端領域の一部であり、Ca2+結合モチーフであるEF-ハンドモチーフを含むドメインである。このドメインはRbohの制御ドメインである。Rbohはアミノ酸配列から2つのEF-ハンドモチーフを持つことが予測されていた。Rbohはホモ2量体を形成しており、2番目のEF-ハンドモチーフが2分子間でスワップしている。このようなEF-ハンドモチーフのスワップは珍しい構造である。また、予測されていた2つのEF-ハンドモチーフの他に新たに2つのEF-ハンドモチーフ類似の構造が見つかった。Rbohはこれらの4つのEF-ハンドモチーフを持つことで同じく4つのEF-ハンドモチーフを持つCalcineurinBやRecoverinとよく似た構造をとっている。Rbohの4つのEF-ハンドモチーフのうち、実際にCa2+を結合しているのは1つのEF-ハンドモチーフだけである。RbohのN-末端領域はC-末端側のFAD/NADPH結合領域と相互作用しているため、Ca2+の結合によって引き起こされる構造変化は、C-末端領域に伝えられRbohの活性を制御するのであろう。

"Rboh/Calcineurin複合体"
(図1) イネ由来RbohB138-313(Cyan、Green)とCalcineurinA (Blue) CalcineurinB (Pink) 複合体(PDB code 1AUI)の構造比較。EF-ハンドモチーフの一部を赤で示す。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Oda, T. Hashimoto, H. Kuwabara, N. Akashi, S. Hayashi, K. Kojima, C. Wong, H.L. Kawasaki, T. Shimamoto, K. Sato, M. Shimizu, T.; "The structure of the N-terminal regulatory domain of a plant NADPH oxidase and its functional implications"; J.Biol.Chem.; (2010) 285:1435-1445 PubMed:19864426.

その他

著者: 小田 隆、清水 敏之


English version:PDB:3a8r