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PDB:3a6m

タンパク質名

DnaKコシャペロン、GrpE

生物種

Thermus thermophilus HB8(好熱性細菌)

生物学的役割

タンパク質のフォールディングや品質管理はタンパク質が正常な機能を維持するのに必要不可欠である。Hsp70分子シャペロンは新生タンパク質のフォールディングや熱ショック条件における凝集抑制に関わるタンパク質群である。原核生物のHsp70ホモログであるDnaKはHsp40ホモログであるDnaJ およびGrpEと協調して機能し、これら三つのタンパク質によりDnaKシャペロンシステムを構成している(図1)。DnaJはDnaK同様に分子シャペロンとして機能し、DnaKよりも先に基質ポリペプチドと相互作用する。DnaJはDnaKのATPase活性を上昇させ、これによりDnaKは基質との高親和性を獲得する。GrpEはDnaKにおけるADP/ATP交換反応を促進し、DnaKからの基質遊離にも関与する。熱ショック条件におかれると、 GrpEは一時的にDnaKと相互作用できなくなるため、DnaKシャペロンサイクルは停止し、基質ポリペプチドはDnaKに保持されたままとなる。この熱ショック条件においてGrpEに生じる可逆的構造変化は温度センサー機能を発揮するのに重要であり、これによりタンパク質の熱変性が抑制される。

立体構造の特徴

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GrpEはホモ二量体タンパク質であり、N末端のα-ヘリックスドメイン、中央のfour-helix bundleドメイン、C末端のβ-シートドメインからなる。DnaKのヌクレオチド結合ドメイン(NBD)に結合したADP分子は、このNBDに GrpEのβ-シートドメインが挿入されることにより放出されると考えられている。この論文の筆者らの実験により、T. thermophilus GrpEでは熱ショック温度である90℃において、DnaK相互作用部位(主にβ-シートドメインの領域)の立体構造が部分的に崩れていることが示された。すなわち、この領域の局所的な構造変化によってDnaKと相互作用できなくなることが、GrpEが温度センサーとして機能するための構造基盤であると示唆された。

"DnaKシャペロンシステム"
図1.DnaKシャペロンシステム

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Nakamura, A. Takumi, K. Miki, K.; "Crystal structure of a thermophilic GrpE protein: Insight into thermosensing function for the DnaK chaperone system"; J.Mol.Biol.; (2009) :- PubMed:20036249.

その他

著者: 中村 顕


English version:PDB:3a6m