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PDB:2BYV

タンパク質名

Rapタンパク質のグアニンヌクレオチド交換因子Epac

生物種

マウス(ハツカネズミ)

生物学的役割

Rap1はRasによって引き起こされる細胞の発ガン性形質転換を抑制する低分子GTPアーゼであり、細胞の分化や増殖にも関与していると言われている。cAMPを含む数種類の細胞外からの刺激によりRap1に結合しているGDPからGTPへの交換が起こり、Rap1は活性化型となる。Epacタンパク質はグアニンヌクレオチド交換因子の一種であり、cAMPによって活性化されてRap1及びRap2のグアニンヌクレオチド交換を行う。EpacはN末端の制御領域と触媒領域から成り、制御領域は2つのcAMP結合部位 (cNBD-A及びcNBD-B)と細胞膜での局在に関与するDEPドメインを有する。DEPドメインはRapタンパク質へのGEF活性を自ら抑制している。また触媒領域はRas交換モチーフ (REM domain)、Ras相互作用ドメイン及びCDC25ホモロジードメインを含む。

立体構造の特徴

2byv2byv_x2byv_y

ここで示されているのは自己阻害状態のEpac2の構造である。制御領域が触媒領域のRapタンパク質結合部位を塞ぎ、Rapタンパク質が結合するのを防いでいる。制御領域と触媒領域は2カ所でルーズな接触をしている。1番目の接触部位ではcNBD-BとREMドメインのストランドとCDC25ホモロジードメインのループで構成されるβシート様の構造を成しており、この領域はスイッチ板と呼ばれている。2番目の接触部位ではcNBD-B及びCDC25ホモロジードメインの荷電性残基が相互作用しており、ionic latch (掛けがね)と呼ばれている。制御領域では主鎖同士の相互作用が多く見られるため制御領域は構造変化を起こしにくいと考えられており、cAMPの結合に伴う制御領域の構造変化というよりはむしろ2箇所のゆるい接触が蝶番のような働きをし、制御領域が剛体運動することによりRap1の触媒領域への結合が可能になると考えられている。筆者らはcNBD-BのC末端にあるβストランドが結合したcAMPを守るふたのような働きをし、cNBD-Bがこのβストランドに向かって動くことによりCDC25ホモロジードメインのRap結合部位が開き、Rapの結合が可能になると示唆している。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Rehmann, H. Das, J. Knipscheer, P. Wittinghofer, A. Bos, J.L.; "Structure of the cyclic-AMP-responsive exchange factor Epac2 in its auto-inhibited state."; Nature; (2006) 439:625-628 PubMed:16452984.

その他

著者: 日暮 美穂


English version:PDB:2BYV