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PDB:2A65

タンパク質名

神経伝達物質Na+/Cl-依存性輸送体の細菌相同体

生物種

Aquifex aeolicus(好熱性細菌) VF5

生物学的役割

脳内の神経細胞は以下の過程を経て「素早く」情報伝達を行う。
1) 電気信号が最初の神経細胞(シナプス前細胞)の先端まで伝えられる。
2) そこにあるシナプス小胞と呼ばれる袋に入っている神経伝達物質が細胞外の空間(シナプス間隙)に放出される。
3) 放出された神経伝達物質は、次の神経細胞の表面にある膜貫通型受容体タンパク質(神経伝達物質輸送経路イオンチャンネル)に結合する。
4) その輸送経路が開き、膜の電位が変化する。

「素早い」情報伝達は、神経伝達物質をシナプス間隙に素早く放出することはもちろんのこと、素早く余分な神経伝達物質を「回収」することでおこなわれている。この処理によって、シナプス間隙に過剰に存在する神経伝達物質は除去され、次の信号受容に対する準備が整えられる。 神経伝達物質の回収は、神経伝達物質ナトリウム共輸送体(neurotransmitter sodium symporters: NSS)によっておこなわれ、回収された神経伝達物質は再利用される。 このエネルギー的に逆行する膜貫通輸送は、ナトリウムイオンと塩素イオンの濃度勾配を利用して行われている。輸送される物質は生体アミン、アミノ酸など幅広く、このタンパク質の機能が不十分だと、うつ病、パーキンソン病、起立性調節障害、てんかんなどの様々な疾患を引き起こすことが知られている。

立体構造の特徴

2a652a65_x2a65_y

ここに示した構造は、神経伝達物質ナトリウム/塩化物イオン共輸送体の細菌(Aquifex aeolicus)相同体(LeuTAa)のもので、基質であるロイシン1つと、ナトリウムイオン2つとの複合体である。12本の膜貫通型αらせん(TM1〜TM12)で構成されおり、前半の5本(TM1-TM5)と後半の5本(TM6-TM10)の立体構造はとても似ている。ロイシンは膜のほぼ中央の位置にあるαらせん構造が一部ほどけている場所に、水素結合によって結合している。またナトリウムイオンも近い位置にあり、基質ロイシンの結合部位を安定化させているものと思われる。

この構造は、神経伝達物質ナトリウム共輸送体タンパク質が基質を取り込み、膜の両側に対してゲートを閉じている状態のものであるが、細胞外側または細胞質側に向けてゲートを交互に開け、神経伝達物質を回収する機構に対しても大きな指針を与える。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Yamashita, A. Singh, S.K. Kawate, T. Jin, Y. Gouaux, E.; "Crystal structure of a bacterial homologue of Na(+)/Cl(-)-dependent neurotransmitter transporters."; Nature; (2005) 437:215-223 PubMed:16041361.

その他

著者: 野村幸代


English version:PDB:2A65