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PDB:1U04

タンパク質名

アルゴノート(RNA干渉蛋白質)

生物種

Pyrococcus furiosus(好熱性古細菌)

生物学的役割

生物は、ウイルスなど外来のRNAによる感染から身を守るため、RNAを分解する機構を持っている。この機構は、RNA干渉(RNAi)と呼ばれ、今日では、特定の遺伝子由来のmRMAを分解して、遺伝子発現を抑える手法としても用いられている。 RNA干渉は、細胞内に二本鎖RNAが存在すると発動する。二本鎖RNAは、Dicerという酵素により、20残基程度の短い二本鎖RNA(siRNA)に切断される。ここで生じたsiRNAの一本が、 RNA誘導型遺伝子不活性化複合体 (RISC)に取り込まれ、取り込まれた一本鎖と相補的な配列を持ったmRNAは切断される。RISCには様々なタンパク質が存在するが、その中でもmRNAを分解する役割を果たしているのが、 アルゴノート(Argonaute) というタンパク質である。

立体構造の特徴

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ここに示す構造は、好熱菌 Pyrococcus furiosusのアルゴノート蛋白質(PfAgo)の結晶構造である。アルゴノートは、PIWIドメインとPAZドメインという二つの特徴的なドメインを持っているタンパク質で、PfAgoも同様である。PfAgoは、構造から大まかに分けると、N末端ドメイン、PAZドメイン、middleドメイン、そして、PIWIドメインの四つのドメインから成っている。Middleドメイン、PIWIドメイン、N末端ドメインの三つは、三日月状の底部を形成している。そして、PAZドメインは、N末端ドメインとリンカーで繋ぎとめられていて、底部の上に位置している。底部とPAZドメインの間には溝が形成されており、ここにsiRNAやmRNAが入り込むのである。特に、PAZドメインとPIWIドメインは、RNA干渉を達成するために重要な役割を果たしていると考えられている。PAZドメインは、保存された芳香環の配列を持ち、ここにsiRNAの3´端と結合して、siRNAを固定していると考えられている。PIWIドメインは、RNase Hファミリーとよく似た四次構造をとっていて、RNaseの活性部位に特徴的な酸性アミノ酸の配列が溝の中心のほうを向いていることから、PIWIドメインがRNase活性を持ちmRNAを切断していると考えられている。 このようにPfAgo の結晶構造の解明によって、siRNAに相補的なmRNAを選択的に切断するというRNA干渉の重要な段階を、RISCという複合体の中でアルゴノートが担っているという有力な仮説が得られた。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Song, J.J. Smith, S.K. Hannon, G.J. Joshua-Tor, L.; "Crystal structure of Argonaute and its implications for RISC slicer activity"; Science; (2004) 305:1434-1437 PubMed:15284453.

その他

著者: Ashwini Patil 訳者:稲生 大輔


English version:PDB:1U04