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PDB:1RH5

タンパク質名

タンパク質輸送チャネル secY/secG/secE 複合体

生物種

メタン菌(古細菌)

生物学的役割

真核生物ではSec61、真正細菌や古細菌ではSecYと呼ばれる保存されたヘテロ3量体の膜タンパク質複合体は、タンパク質透過チャネルを形成し、ポリペプチドが膜を通過したり、膜に取り込まれたりできるようにする。チャネルだけではポリペプチドを通過できず、それゆえに、駆動力を提供する他の構成要素と連携しなければならない。翻訳と共役した膜透過では、主要なパートナーはリボソームである。そこでは、伸長しつつあるポリペプチド鎖は、リボソームから直接、膜透過チャネルへ移動する。膜通過のエネルギーは、翻訳の際のGTP加水分解から得られる。多くの(あるいは、たぶん全ての)細胞では、細胞質で完全に翻訳された後に膜を越えて輸送される、翻訳後の膜透過も行っている。酵母の翻訳後膜透過の場合、もう一つの膜タンパク質複合体(4量体のSec62/63p)とATP加水分解酵素であるHsp70ファミリーの小胞体内タンパク質BiPと連携して行われる。BiPは、ポリペプチドが細胞質へ戻ってくるのを防ぐ分子の歯止めとして働くことで膜透過を促進する。真正細菌の翻訳後膜透過では、細胞質側からATP加水分解酵素であるSecAがポリペプチドを押している。

立体構造の特徴

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メタン生成古細菌Methanococcus jannaschii由来の複合体の構造が3.2Å分解能で決定された。その構造から、一つのヘテロ3量体が機能的膜透過チャネルとして働くことが示唆された。αサブユニット(secY)とγサブユニット(secE)は、一次配列が良く保存されており細胞の生存に必要である一方、βサブユニット(secG)は、細胞の生存に必要不可欠というわけではない。αサブユニットはチャネルを形成し、2つの連結した部分、膜貫通部分1-5と6-10からなり、共にγサブユニットによって固定されている。細胞質側のチャネルへとつながっている漏斗状構造は、短いヘリックスにより塞がれている。短いヘリックスの栓が外れると、疎水性の残基がリング状にくびれた部分にある砂時計形にチャネルが開く。このリングは、通過中のポリペプチドの周りを密封し、他の分子の透過を妨げているのかもしれない。この構造からは、シグナル配列認識の機構や、未完成の膜タンパク質の膜貫通領域が脂質中に入る側面の出口の機構も示唆され、膜透過のための駆動力を提供するパートナーが結合する部位も示された。

"secY/secE/segG_complex (図1)細胞膜側から見た図。図の上が細胞質側。
"two_halves_of_secY_and_pore_plug (図2)αサブユニット(secY)を細胞質側から見たもの。対称的な2つの領域(赤、紫)、そしてチャネル孔の栓(緑)。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • van den Berg, B. Clemons Jr., W.M. Collinson, I. Modis, Y. Hartmann, E. Harrison, S.C. Rapoport, T.A.; "X-ray structure of a protein-conducting channel"; Nature; (2004) 427:36-44 PubMed:14661030.

その他

著者: 宮崎 直幸


English version:PDB:1RH5