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PDB:1BL8

タンパク質名

KcsAカリウム・イオンチャネル

生物種

放線菌(Streptomyces lividans)

生物学的役割

多くの細胞からなる生物では、さまざまな細胞の間で情報の交換が必要であり、この交換にはナトリウム、カリウム、カルシウムといったイオン等が働く。イオンが細胞膜を透過することにより情報は伝達されるが、その通り道となるのがイオンチャネルである。なぜあるイオンチャネルが一種類のイオンしか通さないのかという問題に対して、機能・立体構造解析から明らかにしたことに2003年度ノーベル化学賞が与えられた。

立体構造の特徴

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放線菌から得られた このカリウムチャネルは全長45Åで、細胞膜の内側から18Åの「トンネル」、中央付近に大きな「穴」、そして細胞膜外につながる「フィルター」で構成されている。細胞膜側の入り口は分子センサーによって制御されており、細胞膜の内と外のカリウム濃度により門を開閉する。この門が開くと、カリウムイオンは水分子に囲まれながら、細胞膜中央の穴に移動する。この穴の電荷状態は負に調節されており、また細胞内の入り口から穴までは水分子も出入りできるようになっているため、誘電率の非常に低い細胞膜の中央付近でも、正電荷をもつカリウムイオンが安定に存在できるようになっている。穴と細胞膜外との間には12Åの細いフィルターが存在する。このフィルターは非常に選択性が高くカリウムイオンだけを通す仕組みになっている。カリウムイオンはフィルターに入る直前に水和していた水分子を離しフィルター内を通過する。フィルター内は、裸のカリウムイオンがちょうどフィットするような構造となっており、このためナトリウムイオンなど他のイオンも通過しにくいのである。フィルター内では近傍のカリウムイオン同士には静電的な斥力が働き、お互いに寄せ付けないよう調節されている。このような複雑なシステムによって細胞膜外へカリウムイオンが放出されるのである。カリウムイオンは筋肉の収縮や細胞間の信号伝達に重要な役割を果たしており、このカリウムチャネルの構造決定は、神経系疾患の原因解明などにつながった。

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Doyle, D.A. Morais Cabral, J. Pfuetzner, R.A. Kuo, A. Gulbis, J.M. Cohen, S.L. Chait, B.T. MacKinnon, R.; "The structure of the potassium channel: molecular basis of K+ conduction and selectivity."; Science; (1998) 280:69-77 PubMed:9525859.

その他

著者: 土屋 裕子


English version:PDB:1BL8