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PDB:1BKV

タンパク質名

コラーゲン様モデルペプチド(T3-785ペプチド)

生物種

合成ペプチド (ヒト由来コラーゲン配列を含む)

生物学的役割

コラーゲンは骨、軟骨といった結合組織の主成分を成す蛋白質であり、繊維を形成することで組織を頑丈かつ柔軟性に富んだものとしている。また、コラーゲンは、細胞の足場となる細胞外マトリクスとよばれる細胞外領域を形成している。細胞外マトリクスとしてのコラーゲンは、様々な蛋白質と結合し、多様な生理機能を制御することが知られている。例として、インテグリンとの結合による細胞の接触シグナル、コラゲナーゼを介した細胞の遊走シグナルが挙げられる。

立体構造の特徴

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コラーゲンは3本のペプチドが絡まって、柱状のらせんを形成する。コラーゲンペプチドは(X1-X2-Gly)nというように3残基ごとにグリシン(Gly)が出現するリピート配列を有する。特にX1、X2には、イミノ酸であるプロリン(Pro)、ヒドロキシプロリン(Hyp)がそれぞれ存在することが多いが、残基の種類に依存して局所的な構造がどのように異なるかは不明であった。そこでKramerらは、コラーゲン様モデルペプチドとして、T3-785ペプチドを合成した( 配列:(Pro-Hyp-Gly)3-Ile-Thr-Gly-Ala-Arg-Gly-Leu-Ala-Gly-Pro-Hyp-Gly-(Pro-Hyp-Gly)3 ) 。これはヒトtype III コラーゲンのコラゲナーゼ認識配列のN末端側とC末端側に(Pro-Hyp-Gly)3を付加したものである。そして、X1、X2が両方ともイミノ酸であるN末端、C末端と両方ともアミノ酸であるコラゲナーゼ認識配列間でのらせん構造を比較した。彼らにより得られた知見は以下の通りである。

○ N末端、C末端側のらせんは7回転対称であった(fig1 A)のに対し、コラゲナーゼ認識配列部位は10回転対称であった(fig1 B)。

○ コラゲナーゼ認識配列のらせんでは、 (1) GlyのN-H と X1のO=C間の水素結合、(2)水分子を介したX1のN-HとGlyのO=C間の水素結合、の 2種類の水素結合がペプチド間相互作用を形成していた。これらの水素結合はN末端側とC末端側のらせんでは観察されなかった。

ゆえに、コラーゲンはX1、X2の残基の種類に依存して多様な局所構造を取り、様々な分子との相互作用部位を形成していると推測される。

fig1A fig1B N末端、C末端側の7回転対称らせん(左:fig1A)とコラゲナーゼ認識配列部位の10回転対称らせん(右:fig1B)
赤,青,緑はそれぞれ異なるペプチド鎖を表す

タンパク質構造データバンク(PDB)

参考文献

原論文

  • Kramer, R.Z. Bella, J. Mayville, P. Brodsky, B. Berman, H.M.; "Sequence dependent conformational variations of collagen triple-helical structure."; Nature Struct. Biol.; (1999) 6:454-457 PubMed:10331873.

その他

著者: 稲生 大輔


English version:PDB:1BKV